賃上げの方法、独立起業の方法、DXの方法を、元雑誌プレジデント編集長でITOMOS研究所所長の小倉健一氏に加わっていただいてディスカッションしてみました。その内容をちょっとだけ、いや大サービスで紹介します!!

賃上げしたらコスト削減ができた!?

小倉健一氏・ITOMOS研究所長)人件費を「下げろ、下げろ」とか、「下げたい、下げたい」って企業経営者は言うのですが、単純に時給を下げればいいと言うものではないです。例えば、年収1,200万円で人材の募集したときと、年収300万円で募集したときでは集まってくる人材は、違います。さらに言えば、年収300万の人が4人いるのと、年収1,200万円の人が一人では、業務内容にもよりますが、年収1,200万円の人を一人雇った場合のほうが成果を上げる可能性が多々あります。年収300万の人を4人も雇うと「管理する工数」がバッと増えますし、福利厚生や職場のモチベーション維持などにも4倍もの気を使わねばなりません。人件費を下げるには、無駄な作業を無くし、「工数」を減らす、余ったリソースで違う作業してもらうのが最も効果的です。

そこで聞きたいんですけれども、チームスピリットさんが管理する「工数」っていうのは、どういった工数ですか。ちょっとボク、言葉の定義を明確にしたくて。

荻島浩司・TeamSpirit社長)いわゆる「作業工数」なんですけど、原価計算における時の主に労務費を計算するときに使う指標ですね。例えばプロジェクトが発生して1から10のプロセスがありますってときに、今の工数が60%です、稼働工数、全体の進捗のうち60%という状態で、期末が到来するとします。そしたらこの部分だけ原価計上ができて、PL上に反映されるんですけど、この作業工数を基に、人件費を案分したり、または家賃を案分して原価計算をやっていくわけです。

エンジニアを起用するなど人件費で何かを作る会社の場合は原価にこれが含まれるんで工数はぜったいとらなきゃならない。その時に、勤怠の時間と工数が一致している必要がありますよね。Teamspiritは勤怠と工数がピッタリ一致できて記録しやすいので、引き合いが増えたんです。

(小倉)1人の労働者が働ける時間を10としたときに、どうプロジェクトに配分するのか。「10のうち3をAのプロジェクト」に、「Bのプロジェクトには6」と振り分けていく。もし、工数がまだ余っているなら別の業務もやってもらう。工数を「見える化」して管理することは、高収益化のポイントです。プログラマーなりエンジニアがどういう仕事をしているかが簡単に割り出せるということですね。

(荻島)会計上の原価計算に必要な工数っていうのがあるんですけど、転じて「働き方の内訳を取れる指標になるじゃん!」ということが分かってきました。そういう意味では可視化、すなわちどういう1日の使い方をしたんだろうっていうことを、以前は日誌とかでテキストでやっていたのが、私たちのプロダクトではグラフィカルに定量的なデータで見えてきます。

「お詫びと訂正」がゼロに

(小倉)編集の仕事では、正社員とは違う、雇用契約のない業務委託の記者・編集者がたくさんいて、その人たちは契約条件もそれぞれ違っています。編集部では「ジョブ型」を目指して、取材に何時間かかる、アポ入れに何時間かかる、下調べに何時間かかるっていうので平均値が出てくるので、これをもとに業務を「見える化」するという発想ですね。

編集長が、経費下げろとか言うと、だいたい「飲食をともなう取材費」「取材音源の文字起こし代」を削れみたいな議論になりがちですが、競争力を減らす可能性があるので、僕の時代にはやらないようにしていました。

僕はもっと違うことで工数を減らそうと思ったんですよね。介護ITの「ケアリッツ&パートナーズ」の宮本剛弘さんに教えてもらったのですが、そこは優秀な人材に業界最高水準の給料払って優秀な人材を集め、ガンガン働いてもらうぐらいというのが雇用の理想で、そうするとトラブルも減るって言うんです。それを実践しました。

岸田さんが賃上げ3%って言っていますけど、月々のベースで支払う契約は維持してさらに働けば歩合で支払うようにしました。これは雑誌の編集ページ100ページぐらい。その100ページをなるべく少ない人数でつくる方法だったのです。少数精鋭であれば、接触回数、要するに打ち合わせの数も減るし、伝えなきゃいけないことも1回で済むし、だからそれはすごく意識していました。

結果として、業務委託契約者の給料を受け取る金額は大幅にアップしましたが、編集部全体で年間数千万円のコストダウンに成功しました。

新聞とか雑誌って間違った記事を書いたら「お詫びと訂正」を出します。それまで月に1回ぐらい出してる時期もありましたが、僕の時代は通じて1度だったんですよ。トラブルが目に見えてなくなっていきました。だから見える化できれば管理職の工数を減らせる。「管理職の工数」が減れば、現場の給料は上がり、コストは下がり、トラブルも減るのです。同じ雑誌なら、お詫びと訂正はないほうがいいのは自明です。プレジデントのブランディングにも貢献できたのではないかと思っています。

「勤怠管理」から「働き方サジェスト」の社会インフラ企業として

間中健介・WITH所長)無駄な時間を「削減」するってよく言いますけど、時間は消えるわけではなくて、新たに生まれた時間でプラスのことが出来るっていうことなので、そういう時間創造サービスが広がると成長率がアップしますよね。

TeamSpiritのネクストステージについて聞きたいです。これまで勤怠管理、HRTech、EPRフロントウェアというようなサービスイメージだったと思うんですけど、バランストスコアカードと申しますか、企業の様々な活動をまずは分析できて、そこから行動に結び付きますという。新たな可能性を浸透させていくために、おそらくは悩み中なのかなと思うんですけど。

(荻島)今のサービスはさらに伸びていくと思っています。でもそれで満足せず、もっと進化したい。間中さんをはじめ、みなさんからたくさんインスピレーションをもらえることを引き続き期待しています(笑)

(間中)お、・・・。

(荻島)TeamSpirit自体は企業の様々なプロセスをデジタライゼーション、電子化をするツールですが、理想的には「あなたの会社はこういう状態で、こういう社員が毎日8時間働いているけど、就業規則をこう変えて、こういう勤務体系を導入すると効率性が高まりますよ」みたいにシステムが答えてくれるようにしたいですよね。

それにはビッグデータも必要で、法令の要素もあるので、そういうのを補完して、働くパターンっていうものをちゃんと提案してくれるようなものにしたいですね。もっと言えばこういうのは本来国がガイドラインを示してもよいと思っているんです。

(間中)無数の働き方を一つの労基法で縛っているのがそもそも意味わからないんです。せめて労基法ABCと3つくらいあって、会社によって選べるくらいにしても良い。

(荻島)何時から何時まで働きましたっていう風に、厚労省のサーバーに結果が送られるっていうのでいいはずの事じゃないかと。

社会インフラにしないといけないと思うんですよ。今は「働いたから計算する」っていうものですけど、その前に「こういう働き方をした方がいいんじゃないですか」っていうものに変えていけなきゃいけないんじゃないかって思っていますね。

(間中)ほとんどの経営者は従業員の給与を下げようとは思っていないはずです。働き方をどう変えればよいのか、回答を見い出せればみんなが助かる。

(荻島)せっかくデータがあるので、去年1年間の働き方だとこういう人件費でこういう生産性だったけど、こういう働き方にするとお互いにメリットがある、労使ともにあるよっていうことが出せたらすごくいい。

対談②に続く